組織の成功循環モデルB 取り組み方
先日より
ダニエル・キム先生の有名な「組織の成功循環モデル」について解説してきました。
端的にいうと、
組織には「関係の質」、「思考の質」、「行動の質」、「結果の質」という4つの質が存在し、
それぞれ関係しあっているという概念です。
「バッドサイクル」と「グッドサイクル」あり、
「結果の質」だけを追い求めていると「バッドサイクル」に陥り、
結果的には「結果の質」も、ほかの4つの質も低下してしまうとしています。
組織を成功に導くには、遠回りと思えても、
「関係の質」に着目することが、効果的と考え方です。
それでは、具体的な進め方をみていきましょう。
■ グッドサイクル実現までのステップ目先の結果ではなく、グッドサイクルの起点である関係の質、
さらに思考の質と行動の質を向上させることが重要です。
1.関係の質向上方法「関係の質」の向上なしには、グッドサイクルの循環が始まらないどころか、
メンバーが仕事に対して投げやりになり、
思考することを放棄してしまい、「思考の質」が低下します。
さらに、自分から組織に対して考えなくなることにより
組織に対する自主性や主体性が低下し、「行動の質」も低下します。
結果、行動から生まれる「結果の質」も低下してしまう恐れがあります。
そこでグッドサイクルに欠かせない「関係の質」を向上させる
コミュニケーション方法についてご紹介します。
@心理的安全性
まず、職場や組織にかかわらず、人間関係を構築するには
十分なコミュニケーションが必要です。
メンバーがチーム内で発言しても周囲から拒否されたり罰せられることがなく、
自然な自分をさらけ出せる場であると確信することで、
思いついたアイデアや考えを率直に発言できる環境つくりが重要です。
この環境状態を「心理的安全性」と言います。
チーム内での心理的安全性を高める気軽な方法として、
まずは挨拶を積極的にしたり、気軽に世間話をしてみたりと、
気軽なコミュニケーションを増やし、
お互いのかかわりを自然に増やすことから始めてみるといいでしょう。
チームの文化として気軽にコミュニケーションができるようになったら、
関わりがある人に感謝の気持ちを伝えてみたり、
相手の仕事の状況について聞いてみたりすることで、
チーム内のつながりを強くしていきましょう。
このように繰り返しチームの心理的安全性を高めることで、
チームとしても個人としても課題解決のスピードが上がったり、
モチベーションが上がることによって「関係の質」を上げることができます。
A相互理解
チーム内の心理的安全性を高めるためにも、
チーム内でメンバー同士がどのような考え方をしているのか、
どのような状況にいるのかと言った理解を深めることが大切です。
仕事の役割や立場を超えて、
一人ひとりの人間として相互理解を深めることによって信頼を構築することができ、
チームとしての結束力も強くなります。
2.思考の質向上方法@目標共有
「関係の質」を向上させるには、ただ良好な関係構築や相互理解だけでは不十分です。
チームにおける「理想の関係」を構築するには、
チームに求められていることを共有することが必要不可欠です。
メンバー一人一人が組織やチームが目指す目標やビジョンを理解・共有し、
その組織の最終ゴールに向かって貢献しようと思考し行動する事が求められています。
そのためには、メンバー全員が納得して追求できる目標の設定・共有が欠かせません。
チームで共通の目標を理解し共有することで、そこから新たな気づきが生まれたり、
メンバー一人ひとりの主体性が向上したりします。
目標共有で生まれた新たな気づきや課題を共有する仕組みを設定するのも良いでしょう。
具体的には、1on1や定期的なミーティングを意識的に設けることで、
目標達成に向けた行動へのモチベーションが高まります。
5.行動の質向上方法@主体性
最終的に結果につなげるためには、共有した目標や価値観に向けて全員が動く意識、
つまり主体性が必要です。
特に VUCAの時代を生きるうえで、チームないしは会社にとって必要なスキルなどを理解し、
自らで取捨選択をし、取得していくことが大切になってきています。
気を付けるべきポイントとして、主体性が発揮される条件として以下の4つがあります。
・目標共有:チームメンバー全員がチームの目的や目標を理解できていること。
・役割分担:その上で自分が遂行すべき業務や役割を理解できていること。
・相互理解:チームを構成するメンバー同士それぞれの考え方や特性を理解し合えていること。
・心理的安全性:失敗やミスに対してチームが責めるのではなく受け入れていると感じていること。
A役割分担
チームメンバー一人ひとりの主体性を高めるために必要な役割分担は、
他の項目である、目標共有・相互理解・心理的安全性が前提に行われる必要があります。
それぞれが役割分担に必要な理由は、以下にあります。
・目標共有:業務や役割はチームで共有している目標を達成するために決めるため。
・相互理解:メンバーそれぞれの強みや弱みを活かせる、または相互補完できるように
分担するため。
・心理的安全性:安心してコミュニケーションが取れる環境でこそ一人一人の能力が発揮されるため。
適切な役割・業務分担が行われていない場合、次のような弊害が現れる場合があります。
・優秀な人間の業務量過多
・フリーライダーが現れる
・定時で帰れる人・残業する人に分かれる
・責任の所在が分かりづらい
・ストレスで離職率が増える
自職場は、こうした状況に陥っていないでしょうか?
マネジメント自身のみならず、メンバー全員の意見を聴いてみるのもいいですね。
■ まとめこれまで、ダニエル・キム教授が提唱した
「組織の成功循環モデル」の考え方について考えてきました。
結果だけを求めて行動してしまうと、
人間関係が悪化し、業績が落ちてしまうというケースが多いものです。
遠回りしているように感じるかもしれませんが、
心理的安全性の高い環境づくりや目標共有、
メンバーの主体性や相互理解に基づいた役割分担を心掛けることで、
自ずと「結果の質」の向上も可能です。
「関係の質」、「思考の質」、「行動の質」のそれぞれを向上させ、
成長し続けられる組織構築を目指しましょう。