「言った」、「聞いてない」は、コミュニケーション・ギャップがあるから
様々な年齢の社員、多様な雇用形態の社員が存在する職場。
社員の価値観は多様化し、加えてコロナ禍で対面での会話が減少するなど、
職場におけるコミュニケーションに関わる課題はつきません。
例えば「若手社員との会話がかみ合わない」、
「定年前後の高齢者との会話がうまくいかない」、
「話が通じない」、といった声が聞こえてきます。
また、よくあるのが「上司は伝えた」と言うが、部下は「聞いていない」と言う現象。
逆の場合もありますよね。
つまり「言った、言わない」、「聞いていない」。
これらmp弊害が生まれるのはコミュニケーション・ギャップがあるからです。
■ コミュニケーション・ギャップが生まれる仕組み
少し古い資料ですが、
(独)高齢・障害・休職者雇用支援機構発行「エルダー」(2018.9月号)には、
コミュニケーション・ギャップが生まれる仕組みが記載されていました。
・コミュニケーション・ギャップを生まれるわけとは?
例えば終業後の飲み会で、チームメンバーとイタリアンレストランへ行って、
パスタやピザ、そしてビールやワインを楽しんだとする。
翌朝、急用で参加できなかった課長のAさんから、
「昨日はどうだった? 何を食べたの?」と聞かれる。
すると一般的には「イタリアンへ行きました。楽しかったですよ」
とざっくり答えることが多い。
このように、人は体験を言葉にするとき、
体験すべてを言葉にして事細かに説明するのは面倒だと思い、
ざっくり説明しがちである。
その方が、話は端的に伝わりやすくなると考えるからだ。
その結果、体験を言葉にすると「あいまいになる」ともいえる。
食事会の話ならあいまいなままでも問題はないが、
重要な仕事関係の会話では、共通認識が図れず、意思疎通が難しくなる。
これが「コミュニケーション・ギャップ」が生じる仕組みである。
つまり、人が物事を伝えるとき、ざっくりであったり、
あいまいな表現で語りがちになるのである。
さらに世代が異なると、考え方や価値観のギャップが大きくなるため、
個々の発言内容や意味するものが異なってくるので、
メンバー同士の距離がますます生じてしまう。
■ 言葉にできないことを引き出す「質問スキル」
メンバー同士との共通の認識が図れず、
意思疎通が難しいと感じた場合はどうしたらいいか。
相手の言葉に表われていない、端折られた情報を取り戻す必要があります。
その手掛かりとなるのが「質問スキル」です。
たとえば、
「なぜ、そうなるのですか?」
「どうしてその方法がいいのですか?」
「いつからそうなのですか?」などと質問すると、
相手は「それは・・・」と、今まで言葉にしていなかったことを口にしてくれるでしょう。
ときには「いや、それはそういうものだから、やってください」
と言われてしまうこともあるかもしれません。
けれども「納得して仕事をしたいので、ぜひ教えてください」とか
「○○さんに満足してもらいたいので、詳しく教えてもらえますか」と
前向きな理由をつけて質問をします。
相手の言葉に表れていない情報を共有できれば、
コミュニケーション・ギャップを縮めることができます。
■ シンプル質問スキル
質問の代表格は、「5W1H」ですね。
・When(いつ)
・where(どこで)
・who(だれが)
・What(なにを)
・Why(なぜ・どうして)
・How(どのように)
これを、情報共有のために使うと・・・
「いつからそうしているのですか?」
「いつからそうなっているのですか?」
「どこでそうした作業が行われているのですか?」
「だれから聞いたのですか?」「だれがやっているのですか?」
「なにが足りないのでしょう?」「なにが必要なのですか?」
「なぜ、そうしたのですか?」
「どのような経験からそうできるのでしょう?」
このような質問をすることにより、
相手の考えや行動の背景にある「省略された情報」を取り戻すことができます。
■ 質問するときの注意点
質問は効果的ですが、注意も必要です。
質問、つまり詰問調になって相手を問い詰めないことです。
たとえば、
「なぜ、あなたはいつもそうなの?」
「どうして?」
「なんで?」
など、問い詰める質問をすると、相手はうんざりしたり、
否定されたと思ったりして心を閉ざしてしまうでしょう。
大切なのは、
「言葉になっていない情報を引き出し、相手がそういった言動をする背景を知ること」
なのです。
★ 情報が共有できた分、ギャップは縮まる
質問には「不明な点を明確にする」という役割があります。
メンバーと世代間ギャップを感じたときは、決めつけないで、
「なぜ、そう考えるのですか?」など、やさしく質問をして、
相手の考えを聞きだした方が、共通認識を図れます。
そして共通認識を図った分だけ、ギャップは縮まるでしょう。
■ まとめ
人には、すべての体験を言葉にできないという特徴がある、
ということを覚えておくといいですね。
だからこそ質問をして、事実や詳細、その背景、思いを引き出し、共有を図る。
これらを理解し実践すれば、他メンバーの考えを理解でき、
働きやすい職場にすることができるでしょう。
質問スキルは、日頃から意識してトレーニングすることで身につけることができます。
また、コミュニケーション・ギャップの仕組みをチーム内で共有するのも
いい方法だと思います。
メンバー全員にとって、納得できる働きやすい職場にするためにも、
実践してみませんか?