コーチングの代表的な進め方「GROWモデル」
今や部下育成には欠かせないスキルの一つ「コーチング」。
最近は、「コーチング」を進化させた「1on1ミーティング」も注目されていますね。
今日は、コーチングの代表的で有名な手法「GROWモデル」をご紹介します。
GROWモデルはシンプルかつ実用的で、
システマティックに進めることができます。
ランダムに質問を発するよりも、GROWモデルのガイドラインに沿って進める方が、上司にとってわかりやすいと好評です。
ご存知の方も多いと思いますが、おさらいしてみましょう。
■ GROWモデルとは
GROWモデルとは、
コーチングを実施する際、目標達成のために相手に自発的に考えさせ、
行動させるための気づきと学びの質問サイクルです。
GROWは「(食物)育てる、育成する」を意味し、
部下(相手)を育てるという意味合いになります。
ビジネスコーチングを広めた権威でもある英国の
John Whitmore(ジョン・ウィットモア)氏が開発したといわれており、
彼の著書「Coaching Performance(1992)」で、用いられていたようです。
GROWとは、5つの言葉の頭文字からなっています
G:Goal、R:Reality/Resource、O:Options、W:Will
の頭文字をとったものです。
「G」Goal「目標の明確化・目標設定」
・・・目指す姿、あるべき姿、出すべき結果、着地点
「R」Reality「現状の把握」
・・・goalに対しての現状、状況確認、立ち位置の確認
「R」Resource「資源の発見」
…人、モノ、可燃、情報、スキル、利用できる資源の洗い出し
「O」Options「選択肢の創造」
・・・実現するためのいくつかの方法、選択肢の設定
「W」Will「意志の確認、行動計画、目標達成の意志」
・・・本人の意思確認、最初の一歩、行動開始への後押し
コーチングをする相手に、GROWに準ずる質問をすることで、
相手に明確に気づかせて自発的に考える力を養い、
確実に実行に移すことを目的にしています。
マネジメントだけでなく、
日常的なシーンにも活用できる問題解決のプロセスでもあります。
■ GROWモデル質問例
参考までに、具体的な質問例をご紹介します。
「G」・・・Goal 目標設定、目標の明確化
<どうなりたいかを具体的にイメージさせる>
・あなたが、今一番達成したいと願うことはなんですか?
・仮になんでもできるとしたら、何をやってみたいですか?
・5年後に自分がどうなっていたら満足を感じますか?
「R」・・・Reality 現状把握
<今どうなっているのか。現状はどう作り出されたか。原因は何なのか>
・その目標に対して、今、どれくらい進んでいますか?
・課題を3つ挙げるとしたら、何と何と何がありますか?
・それに対して、今までにどんなことをやってきましたか?
「R」・・・Resource 資源発見
<使えるものはなにか。人、モノ、金、情報、時間、スキルなど利用できる資源を抽出する>
・実現に向けて、誰かの力を借りるとしたら誰ですか・
・どんな情報が手に入れば、前に進むことができますか?
・過去に一案うまくいったという経験はどんなものですか?
「O」・・・Options 選択肢創造
<最低3つ以上の選択肢を設定する。選択肢がないと人はやらされていると感じる>
・他に、今までにない新しいやり方は考えられませんか?
・まだ試していない方法には、どんなものがありますか?
・あなたらしい方法には、どんなやり方がありますか?
「W」・・・Will 意志確認
<具体的に行動することを約束する。実行席にを持ってもらう>
・一番やりやすいものから始めるとしたら、どれですか?
・それを、いつまでに、どれくらいやることにしますか?
・うまくいったら、どのような気持ちになると思いますか?
これらのステップを踏むことで、部下は自分で答えを見つけることができます。
■ おわりに
部下育成スキルのコーチングは、かなり浸透してきましたが、
実際にはうまく使えないという声もあります。
特に「質問」が難しいというのです。
「質問」が難しいのは、
相手の状況に応じてどのような質問が最適なのかがわからない、
質問自体の語彙がすくない、
と言ったものでしょう。
そこで、この「GROWモデル」を利用して進めてもいいとおもいます。
ただし、くれぐれも「詰問調」になったり、質問攻めにしたいこと。
もちろん、話を聴くことが基本です。
話す配分が、上司2割、部下8割が理想としられていますので。