2022年02月23日

GROWモデル



コーチングの代表的な進め方「GROWモデル」


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今や部下育成には欠かせないスキルの一つ「コーチング」。

最近は、「コーチング」を進化させた「1on1ミーティング」も注目されていますね。

今日は、コーチングの代表的で有名な手法「GROWモデル」をご紹介します。

GROWモデルはシンプルかつ実用的で、
システマティックに進めることができます。

ランダムに質問を発するよりも、GROWモデルのガイドラインに沿って進める方が、上司にとってわかりやすいと好評です。

ご存知の方も多いと思いますが、おさらいしてみましょう。


■ GROWモデルとは

GROWモデルとは、
コーチングを実施する際、目標達成のために相手に自発的に考えさせ、
行動させるための気づきと学びの質問サイクルです。

GROWは「(食物)育てる、育成する」を意味し、
部下(相手)を育てるという意味合いになります。

ビジネスコーチングを広めた権威でもある英国の
John Whitmore(ジョン・ウィットモア)氏が開発したといわれており、
彼の著書「Coaching Performance(1992)」で、用いられていたようです。

GROWとは、5つの言葉の頭文字からなっています
G:Goal、R:Reality/Resource、O:Options、W:Will
の頭文字をとったものです。

「G」Goal「目標の明確化・目標設定」
  ・・・目指す姿、あるべき姿、出すべき結果、着地点
「R」Reality「現状の把握」
  ・・・goalに対しての現状、状況確認、立ち位置の確認
「R」Resource「資源の発見」
  …人、モノ、可燃、情報、スキル、利用できる資源の洗い出し
「O」Options「選択肢の創造」
  ・・・実現するためのいくつかの方法、選択肢の設定
「W」Will「意志の確認、行動計画、目標達成の意志」
  ・・・本人の意思確認、最初の一歩、行動開始への後押し

コーチングをする相手に、GROWに準ずる質問をすることで、
相手に明確に気づかせて自発的に考える力を養い、
確実に実行に移すことを目的にしています。

マネジメントだけでなく、
日常的なシーンにも活用できる問題解決のプロセスでもあります。


■ GROWモデル質問例

参考までに、具体的な質問例をご紹介します。

「G」・・・Goal 目標設定、目標の明確化
<どうなりたいかを具体的にイメージさせる>
・あなたが、今一番達成したいと願うことはなんですか?
・仮になんでもできるとしたら、何をやってみたいですか?
・5年後に自分がどうなっていたら満足を感じますか?

「R」・・・Reality 現状把握
<今どうなっているのか。現状はどう作り出されたか。原因は何なのか>
・その目標に対して、今、どれくらい進んでいますか?
・課題を3つ挙げるとしたら、何と何と何がありますか?
・それに対して、今までにどんなことをやってきましたか?

「R」・・・Resource 資源発見
<使えるものはなにか。人、モノ、金、情報、時間、スキルなど利用できる資源を抽出する>
・実現に向けて、誰かの力を借りるとしたら誰ですか・
・どんな情報が手に入れば、前に進むことができますか?
・過去に一案うまくいったという経験はどんなものですか?

「O」・・・Options 選択肢創造
<最低3つ以上の選択肢を設定する。選択肢がないと人はやらされていると感じる>
・他に、今までにない新しいやり方は考えられませんか?
・まだ試していない方法には、どんなものがありますか?
・あなたらしい方法には、どんなやり方がありますか?

「W」・・・Will 意志確認
<具体的に行動することを約束する。実行席にを持ってもらう>
・一番やりやすいものから始めるとしたら、どれですか?
・それを、いつまでに、どれくらいやることにしますか?
・うまくいったら、どのような気持ちになると思いますか?

これらのステップを踏むことで、部下は自分で答えを見つけることができます。


■ おわりに

部下育成スキルのコーチングは、かなり浸透してきましたが、
実際にはうまく使えないという声もあります。

特に「質問」が難しいというのです。

「質問」が難しいのは、
相手の状況に応じてどのような質問が最適なのかがわからない、
質問自体の語彙がすくない、
と言ったものでしょう。

そこで、この「GROWモデル」を利用して進めてもいいとおもいます。

ただし、くれぐれも「詰問調」になったり、質問攻めにしたいこと。

もちろん、話を聴くことが基本です。
話す配分が、上司2割、部下8割が理想としられていますので。


posted by suzumura at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスコーチング

2020年09月18日

傾聴ポイント「かきくけこ」


傾聴はか行で

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私事ですが、訳あって、コーチングの基本を学ぶことにしました。
そこで手に取ったのが
「コーチング入門 本間正人・松瀬里穂著 日経文庫」。

2006年2月に出版されたのですが、
当時の私は「コーチング」は眼中になく、書店でも気づきませんでした。

その年の夏、会社を退職することを決心し、
退職後は無料セミナー参加三昧でした。

そこで出会ったのが「ビジネスコーチング」です。
ビジネスコーチ社が主催する無料セミナーでした。

これもご縁ですね。

その場で「コーチング」の効果に大納得。
特にビジネス分野に特化しているところも魅力で、
資格を取ることを決心したのでした。

ビジネスコーチ資格取得の学習を続けながら、
コーチングに関する書籍を読み漁りました。
その中のひとつがこの「コーチング入門」です。
とても参考になりました。

ちなみにamazonで調べてみると、最新版は2015/8/17出版。
なので、時代の変化に合わせた内容にアップグレードされているでしょう。
ご興味のある方はどうぞ。
おっと私も読んでみようかな。

・・・前置きが長くなりました。

本には、コーチングの定義や効果的なコミュニケーションスキルが
紹介されています。

スキルの中で最初に登場するのが「傾聴スキル」です。

相手の話をきちんと聴くことの重要性は、
ここ数年で浸透、定着してきているのではないでしょうか。
ま、実際にできているかは、別ですが。

それはともかく、
本書には傾聴の5つのポイントがわかりやすく説明されています。


■ 傾聴の5つのポイント「かきくけこ」

傾聴の際に心掛けるべきポイントを「かきくけこ」の五項目に整理し、
解説しています。
このように五十音で整理すると、わかりやすく覚えやすいですね。
さすが!

か=環境を整える
き=キャッチャーミットを準備する
く=繰り返し、あいづち、うなずきを入れる
け=結論を急がない
こ=心を込めて



■ 私なりの解釈

・「環境を整える」とは、座り方のこと。
何も挟まず向かい合って座るのは、NGです。
緊張感が高まり、居心地も悪くなります。
距離が近い感じで、圧迫感もありますね。

ちなみに、すごく前「自己啓発セミナー」が大流行し、
社会問題にもなったとき、とある無料セミナーに参加しました。
その場では最初から、この向かい合って座るワークをしました。
相手はセミナーの関係者だとピントきました。
距離を近づけて洗脳するためかも・・・と納得しました。

さて、
もうひとつの環境は、場所です。
コーチングや部下の相談にのるときは、
事務所内ではなく会議室など個別に話ができる場所を選ぶといいですね。
他者に聞かれたくない話もありますから。

・「キャッチャーミットを準備する」とは、相手の話を受けとめるということです。
上司にありがちなのが、
部下の話を最後まで聞かずにすぐにアドバイスをしたり、
指示を出したり、判断したりしてしまうこと。
コーチングは、教えるのではなく、引き出すもの。
最後まで相手の話を聴き、受け入れることが大事です。

・「繰り返す」とは、相手の話の一部を繰り返して伝えること。
例えばコーチングの場で部下が「最近、朝、早く起きられなくて〜」と
悩んでいることを打ち明けてきたら、
「ああ、そう」と言うだけでいうだけでなく
「ああ、朝起きられないんだ」とリピートします。

「あいづち」は、相手の話を聴きながら「ふんふん」「へえ〜」
「ああ、そうか」など一言入れること。

「うなづき」は、相手の話を聴きながら、
自然に相手の目を見ながら、首を上下に動かすこと。

これら3点はいずれも、
「あなたの話をきちんと受け止めているよ」というメッセージになり、
相手は安心してさらに詳しい話をする気になれます。

・「結論を急がない」は、すぐに解決策を提示しないということ。
コーチングとは、コーチ側が解決策を伝えるのではなく、
相手自身が解決策を導き出すのを援助するものです。
結論を急がず、じっくり相手の話に耳を傾けることが大事です。

・「心を込めて」とは、話を聴きながら相手の気持ちになること。
上の空で聞いていたり、話を心の中で否定したりしていると、
相手に通じてしまうものです。
相手の身になって、心を込めて聴きましょう。


■ おわりに

「傾聴は、か行で」参考になりますね。
か行を意識しながら、コーチング実施してみませんか?
もちろん、普段から部下の話を聴くときの参考にもなります。
リモート会議でも積極的に使えってみてください。


posted by suzumura at 09:36| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスコーチング

2020年02月25日

六つの帽子で考えてみる



アイデアを出すための六つの思考法

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物事に行き詰ったとき(今がそう?)、
参考になるスキルがあります。

有名な「シックスハット法」です。
ご存知の方も多いでしょう。


■ シックスハット法とは?

エドワード・デ・ボーノによって開発された思考法。
著書「Six Thinking Hats」で
「会議が変わる6つの帽子」として紹介されています。

デ・ボーノ博士は水平思考(ラテラルシンキング)の提唱者として
知られており、
シックスハット法も水平思考をベースに考案されています。

水平思考とは、問題解決のために既成の理論や概念にとらわれず
アイデアを生み出す方法。
したがって「水平思考の六つの帽子」ともよばれています。

六つの帽子は、六つの思考方法を表しています。
「白、赤、黒、黄色、緑、青」
それぞれの帽子をかぶって、
一つの問題をさまざまな視点から考えていきます。

それぞれの帽子の解釈はいろいろありますが、
簡単な考え方をご紹介します。


■ 六つの思考法

・白い帽子(事実認識)
白い帽子をかぶったら、客観的に事実を受け入れる。
データをもとに考えるときも、この帽子をかぶる。
事実、数字、情報、ニーズに注目する。

・赤い帽子(直感)
赤い帽子をかぶると「直感」を自由自在に働かせることができる。
ここでは、自分の直感、気持ち、感情に注目する。
事実の裏づけは必要ない。

・黒い帽子(批判・リスク思考)
黒い帽子をかぶったら批判的な見方をしてみる。
考えられるリスクは何だろう?
また、慎重、理性的に判断してみる。

・黄色い帽子(楽観、プラス思考)
事実をプラスの面でとらえてみる。
事実の中から、価値のあるものを見つけ出す。

・緑の帽子(創造的思考)
他の方法や提案、おもしろそうなものを自由に考える。

・青の帽子(全体整合)
全体を俯瞰する。プロセスを総括する。


■ 会議で使う

この「シックスハット法」は、会議で使うことでも有名です。

あるテーマに対し、参加者全員が同じ色の帽子をかぶって、
それぞれの思考方法からアイデアを出したり、判断したりしていきます。


■ おわりに

あえて、六つの帽子をかぶって、それぞれの思考方法で考えてみる。

たとえば、今の「新型コロナウィルス」に関して、
自社、自部門がとるべき対策について
アイデアを出し合ってもいいかもしれませんね。

ちなみに「コーチング」でも、
クライアントの思考を広げるために、この「六つの帽子」を使うこともあります。




posted by suzumura at 05:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスコーチング

2019年11月18日

3分間・1分間のコーチング


1分でも3分でも部下と向き合おう


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コーチもしている私は、
日本の大手コーチングファーム「潟Rーチ・エィ」
のメルマガを登録しています。

参考になる記事が満載です。
興味のある方は、登録されてはいかがでしょう。


先日、そのメルマガに
「3分間でコーチする  2019/11/14記述
桜井一紀 株式会社コーチ・エィ  2019年11月13日」

がありました。

コーチングといえば、40分から1時間かけて、
クライアントの目標達成や行動変革などについて話し合います。

組織においても、
上司が部下に対し、ある程度の時間を割いて、
コーチングをすることが推奨されています。

が、現実的には多忙の中、
メンバー全員に長時間をかけてコーチングすることは無理
という声が多いことも確かです。

そこで登場したのが「3分間コーチング」という訳ですね。

3分間でいいので、
部下と定期的に向き合う・・・
大切なことですね。

ということで、
コーチ・エィさんのメルマガから
「3分間コーチング」のコツを引用します。


■ 部下に変化をもたらすコーチングのポイント
(コーチング研究所調べ)
1位 定期的にすること
2位 次のセッションまでの行動を明確にすること


■ 部下に効果的なコーチングができていないコーチの特徴
1位 定期的にしない
2位 指示・アドバイスする


つまり定期的に行わないと、部下の変化を引き出せない
ということですね。
確かに「半期に1度」程度では、部下に行動変革を
期待することはむつかしいでしょう。

また、上司として、ついやりがちな「指示、アドバイス」も
よくないようです。
部下は、自分で考えないし、自分から行動しなくなるでしょうから。


■ コーチングの成果を確実にするための3つの要素
メルマガには、上記結果を踏まえて、
成果をもたらすコーチングの要素をあげています。

・定期的に行うこと
・次のセッションまでの行動の明確化を行うこと
・指示やアドバイスをしないこと


この3つの要素は、部下と面談するときにも使えますね。
「部下を変えたい」と思うならこの3点を実践する。
できそうですね。

その上で「3分間コーチング」を提案しています。


■ 3分間でコーチする
メルマガには次のように書かれています。

通常、コーチングは「30分間」「1時間」などの単位で
セッションを定期的に実行します。
30分以上にわたって相手の目標達成に向けて
様々な角度から「質問」して「聞く」ことに徹すること
ができるようになるには、
通常1年前後の専門的なトレーニングを受ける必要があります。
しかし、「質問」することも、「聞く」ことも、
私たちが元々持っている能力です。

30分間のコーチングは難しくても、
3分間のコーチングであれば、トレーニングをしなくても
今の力でできるかもしれません。

前述の「コーチングの成果を確実にするための3つの要素」を
シンプルにまとめ、
3分前後の短い時間で行うコーチングを
「3分間コーチ」と呼んでいます。

■「3分間コーチ」を実際に始めるための手順とポイント
・「3分間コーチ」について説明し、理解してもらう
・「3分間コーチ」を一緒にやってみよう!と誘う
・1〜2週間に1回以上の頻度で行う
・時間を区切る(3分間、5分間、あるいは1分間、など)
・テーマは目標達成
・コーチは「質問」して「聞く」ことに徹する
・正解を求めない
・アドバイスをしない


■ まとめ

この「3分間コーチ」の手法は
コーチングのみならず「1on1ミーティング」にも
使えそうです。

コーチングのテーマは「目標達成」と
明確です。

その「目標」とは、
業績目標に限らず、本人の行動変革や問題解決など
本人に目標を設定してもらえばいいですね。

最近は、「1分間面談」なる方法も目にします。

忙しいなか、1分でも3分でもいいので、
部下と1対1で向き合い、話を聞く時間をとりたいものです。

「3分間コーチング」、上記コツを踏まえて
テスト的にやってみませんか?

たとえば、1ヵ月間、週一でやってみるとか・・・。
きっと効果がでると思いますよ・・・

posted by suzumura at 04:53| Comment(0) | TrackBack(0) | ビジネスコーチング