SWOT分析A 
ちょいと前になりますが、
企業の戦略立案の定番フレームワークである「SWOT分析」の基本を考えてみました。
今日はその続きです。
やや長めになりますが、ご容赦ください。
■SWOT分析の手順SWOT分析は一般的に以下の3段階で進められます。
1.内部環境の分析
2.外部環境の分析
3.クロスSWOT分析の実施
内部環境と外部環境をそれぞれ洗い出し、最後に両方を掛け合わせます。
1.内部環境の分析@内部環境の分析を行います。
内部環境とは、自社が保有する経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)のこと。
つまり、自社の経営に影響を与える各種要素ともいえる。
強みと弱みの両方の視点から各種要素を洗い出し、それぞれ列挙していく。
<内部環境の要素の例>
自社製品のブランド力や品質、価格、消費者の認知度合、立地状況、人材の数や質、
蓄積されたノウハウなど。
要素とは、自社内に現存する「状態」や「事象」を指す。個人的な意図や気持ちなど、
自社内の共通認識でない「考え」や「思い」は含めない。
A次に強み(S)を見つけます。
「自社の強み」は、自社内における売上や信頼を獲得する要素などを
洗い出していくと見つけやすい。
ブランド力やノウハウ、セールスポイントとともに、
業界や自社特有の視点からもピックアップする。
<強み(S)の例>
通り沿いの店舗で立地が良い、当社ならではのノウハウと人脈があるなど。
B次に弱み(W)の見つけます。
自社の弱み(W)は、自社内の課題をピックアップする。
<弱み(W)の例>
商品やサービスの品質が低い、商品やサービスの料金が高い、知名度が低いなど。
・・・グループでSWAT分析をする場合、弱みを見つける作業は
「社員が心に留めている自社の課題を吐き出す機会」にもなる。
あらためて自社の課題を洗い出せるメリットもある。
なお、愚痴の言い合いとなって話が脱線しないように注意すること。
とくにマイナス要因は、個人的な思いが乗りやすいので、
事前に「フラットな目線で現状把握する」という目的を共有しておくのがおすすめ。
なお、強み・弱みは他社と比較しての相対的なものでよい。
固定観念で安易に振り分けないこと。
迷うときは両方に入れてもいい。
というのも「弱み」と思っていることが、「強み」に転化することができたとき、
起死回生の戦略が生まれる。
2.外部環境の分析外部環境とは、自社の外に存在する、自社に対して影響を与える各種要素のこと。
「機会」と「脅威」の視点から要素をピックアップし、それぞれ割り振っていく。
<外部環境の要素の例>
業界全体の市場規模と成長性、国内経済の状況、流行や話題性、周辺の環境、
競合企業の動向、国内外の政治状況
外部環境は、業界全体や国内経済の状況といった大きなものから、
競合企業の動向のような小さなものまで、規模はさまざま。
視点を変えると多くの要素が見つかるため、多角的な視点を大切にする。
@「機会(O)」の見つけ方
「機会」は、外部から自社を見たときにチャンスとなり得る要素を探すと見つけやすい。
第三者目線に立って、外部から自社を見つめ直そう。
<機会(O)の例>
エリア内に競合店が少ない、同じ商品やサービスを扱う競合店舗がない、
競合店における商品やサービスの品質が自社より低い、など。
機会を見つける作業は、自社のポジションを見直すことでもある。
自社がどのような理由から、有利なポジションに立っているのかを理解するチャンスにもなる。
A「脅威(T)」の見つけ方
「脅威」は、自社外に存在する、自社の立場を脅かし障害となる要素のこと。
<脅威(T)の例>
競合商品の需要が増えている、業界の需要が縮小している、近隣に競合店が出店したなど。
脅威は、明確に把握できても排除することは難しい場合も多い。
さまざまな脅威があるなかでどう動いていくか、自社の今後の動向を決める要素となる。
3. クロスSWOT分析を行う内部環境と外部環境の書き出しが終わったら、
それぞれの要素を掛け合わせて方向性を考える「クロスSWOT分析」を行います。
@縦軸と横軸をクロスさせ、4分割の枠を作る。
A縦軸を「外部環境」とし、上半分に「機会」、下半分に「脅威」を書き出す。
B横軸を「内部環境」とし、左半分に「強み」、右半分に「弱み」を書き出す。
C内部と外部の強みと弱みを掛け合わせることで、
それぞれの組み合わせから考えられる4種類の戦略が導き出せる。
1.<強み(S)×機会(O)>自社の強みを活かし、機会をとらえる方法を考案する。
導き出される戦略を「SO戦略」という。
SO戦略の例:
「品質の高さ(S)」×「需要の多さ(O)」=品質の高さをウリに積極的なPRを行う。
2.<弱み(W)×機会(O)>自社の弱みを改善し、機会に挑戦する方法を考案する。
導き出される戦略を「WO戦略」という。
WO戦略の例:
「商品の生産力が低い(W)」×「商品需要の拡大(O)」=商品の生産力を上げて販売拡大を狙う
3.<強み(S)×脅威(T)>自社の強みを活かし、脅威を避ける方法を考案する。導き出される戦略を「ST戦略」という。
ST戦略の例:
「品質の高さ(S)」×「商品需要が縮小している(T)」
=品質の高さで選んでもらい縮小した市場の中での生き残りを図る。
4.<弱み(W)×脅威(T)>自社の弱みを理解し、脅威の影響を最小限に止める方法を考案する。
導き出される戦略を「WT戦略」という。
WT戦略の例:
「商品の生産力が低い(W)」×「商品需要が縮小している(T)」
=ポジションが取れない場合、事業撤退する
■おわりに今日はここまで。
いかがでしたか。
時間を作って、じっくり取り組んでみてもいいでしょう。
またチーム内や、関係部署など複数人数でやってもいいですね。
そして、経営環境が激変する今、定期的に見直してもいいでしょう。