ビジョン型上司
先日(2024年9月10日)の日経新聞には、
20代から50代が理想とするリーダーシップが掲載されていました。
■ 目指すは「ビジョン型」上司エン・ジャパンが実施した調査の結果です。
20代から50代の1,800人にアンケートした結果、3割が「ビジョン型」を選んだとしています。
リーダーシップ理論は、多くの専門家が様々な理論を出しています。
今回の調査は、米国の心理学者「ダニエル・ゴールマン」の理論を
もとにしているということです。
■ ダニエル・ゴールマンのリーダーシップ・スタイル「ダニエル・ゴールマン」は、有名な「クルト・レヴィン」の
古典的リーダーシップ・スタイルを発展させ、6つのスタイルを提唱しました
いずれも有名なリーダーシップ理論なので、覚えておいてもいいでしょう。
ダニエル・ゴールマンは、クルト・レヴィンから約50年ほど後に活躍した米国の心理科学者です。
1995年に発表されたベストセラー「EQ・こころの知能指数」などの著書でも知られています。
彼は、リーダーシップを下記の6つのスタイルに分類しています。
1.ビジョン型リーダーシップ(Visionary Leadership)
2.コーチ型リーダーシップ(Coaching Leadership)
3.関係重視型リーダーシップ(Affiliative Leadership)
4.民主型リーダーシップ(Democratic Leadership)
5.ペースセッター(先導)型リーダーシップ(Pacesetting Leadership)
6.強制型リーダーシップ(Commanding Leadership)
この分類のしかたについては、同じ心理学の考え方をベースとしていることもあり、
クルト・レヴィンの3つの類型と共通する部分があります。
50年の歳月を経て、レヴィンの考えをさらに発展させ、細分化したものであると考えられます。
では、詳細を見ていきましょう。
1.ビジョン型リーダーシップ(Visionary Leadership)共通の夢に向かってメンバーを動かしていく、最も前向きなスタイルです。
組織としての「ありたい姿」をメンバーに語り、ゴールを示すことはしますが、
到達までの方法はメンバーの自主性に任せます。
2.コーチ型リーダーシップ(Coaching Leadership)リーダーがコーチ的な役割を担い、メンバーの考えや目標を尊重しながら、
個々の成長を促すことで組織を成功へ導くスタイルです。
この場合、リーダーとメンバーの対話を十分に行うことが重要です。
3.関係重視型リーダーシップ(Affiliative Leadership)メンバーと同じ目線に立ち、信頼を得ることで、
チームの人間関係を良好に保つことを優先するスタイルです。
仕事を進める上では、人間関係の悪化が大きな障害となることがありますが、
そうならないようにするためのスタイルであると言えます。
4.民主型リーダーシップ(Democratic Leadership)組織の意思決定にメンバー個々の意見を反映させ、
チーム全体の合意を得た上で仕事を進めるスタイルです。
結果よりも、メンバーとの合意というプロセスを重視します。
5.先導型(ペースセッター型)リーダーシップ(Pacesetting Leadership)リーダーが自ら高いレベルの手本を示すことで、メンバーのパフォーマンス向上を図るスタイルです。
メンバーに、リーダーが示したものと同様の成果を目指すよう期待することで、
組織目標の達成を図ります。
6.強制型リーダーシップ(Commanding Leadership)レヴィンの「専制型リーダーシップ」と同様に、
リーダーが明確な指示を行うことによりメンバーをコントロールし、
最短で目的の達成を図るスタイルです。
■ エン・ジャパンの調査結果エン・ジャパンの調査結果では、30%が「ビジョン型」を選び、一位となったようです。
エン・ジャパンでは、ビジョン型とは、目標やありたい姿を明確に定めるタイプとしています。
次に選ばれたのが「コーチング型」。
部下との対話からやる気や行動を促すタイプです。
そして、「民主型」が第三位。メンバー全員から意見を聞いて意思決定を行うタイプです。
続いて「関係重視型」が続きます。
チーム内の人間関係を重視するタイプです。
一方、リーダーが高いパフォーマンスを見せる「先導型」を選択した人は少数で、
細かく指示する「強制型」については1%に留まっているとしています。
記事にはエン・ジャパンの担当者から
「職場の心理的安全性が重要としたうえで、部下の自主性を尊重しつつ、
期限や目標は明確化するなどメリハリをもって評価する姿勢が効果的だ」
としています。
■ おわりにあなたは、どのタイプの上司なら働きやすいですか?
今の私なら、やはり「ビジョン型」でしょうか?
では、部下たちはどう思っているでしょうか?
リーダーシップは、組織の成長、成熟度に応じて、変化していくものです。
さらに、昨今は部下たちの価値観も能力も多様化しています。
部下に合わせたリーダーシップをとること、求められますね。