静かな退職
最近、「静かな退職」なる言葉が注目されています。
■「静かな退職(Quiet Quitting/クワイエットクイッティング)」とは「静かな退職」とは、
仕事に対するやりがいや熱意はなく、必要最低限の仕事のみを淡々と遂行する働き方のこと。
実際に退職するのではなく、あたかも退職したかのように、
心理的・感情的に仕事に対するエネルギーを失っている状態を意味する。
あるいは、退職が決まったような余裕をもった精神状態で働くという意味合いもある。
この言葉は、米国でキャリアコーチであるブライアン・クリーリー氏が
自らのTikTokで発信したことをきっかけに、
主にZ世代(1990年代半ば〜2010年代序盤に生まれた世代)の間で話題となった。
これはミレニアル世代(1980年、もしくは1981年〜1990年代半ばごろまでに生まれた世代)や、
団塊世代ジュニア(1971年〜1974年に生まれた世代)の
ハッスルカルチャー(仕事を人生の最重要項目とする考え方)への反発心が
ベースにあると考えられている。
仕事とプライベートの境界をしっかり分ける、
ワークライフバランスを重視する働き方が多いといわれている。
■「静かな退職」のメリット「静かな退職」は仕事によるストレスを感じにくくなるため、
従業員のメンタルの安定やバーンアウトになりにくくなるメリットがある。
ワークライフバランスを重視した生活を送ることにより、
メンタルが安定し、仕事へ正の影響も考えられるため悪いことばかりではない。
自分らしさや多様性にフォーカスした生き方が受け入れられやすくなった時代であるこそ、
仕事よりもプライベートに比重を置いた働き方が広がったのではないかといわれている。
※2023年の調査によると「静かな退職」をしている正社員は約5割。
■ 「静かな退職」がもたらす影響「静かな退職」状態を放置していると、組織にとって中長期的な悪影響が発生する恐れがある。
(1)生産性低下
(2)職場環境の悪化
(3)人材流出■ 組織として「静かな退職」への対策・仕事の負担や悪影響を緩和し、社員のモチベーションを高めること。
・従業員の職務や期待役割を明確にし、パフォーマンスに対する適正な評価と報酬を行うこと。
・従業員の声に耳を傾けつつ、上司や同僚からのフィードバックやサポートを
提供すること(信頼関係、心理的安全性のある環境づくり)。
・環境要因(衛星要因)に問題があれば改善していくこと。
■ キーマンは上司・部下へ、その仕事の重要さ・価値・期待役割を伝える。
・仕事における裁量権の見直し、自己成長実感が得られる目標設定・評価・承認
(叱る、褒める、感謝する、を正しく使い分ける)を行う。
部下に対して関心を持ち、マネジメントをする立場にある自覚・意識醸成は欠かせないこと。
■ おわりに「静かな退職」と聞くと、なんとなくネガティブな印象があります。
しかし、よく見てみると、「多様な働き方の1つ」であるといえるようです。
とはいえ、「静かな退職」を1つの働き方として認めるものの、
長い目で見ると、組織はもとより、本人にも良くない影響が出る可能性があります。
上司としても、このような働き方を求める若手メンバーがいることを自覚し、
注意することが必要でしょう。