「コミュニケーション・ギャップが起こる理由」
コロナ禍を経て、リモート会議、リモート面談など、
対面でない場も定着してきました。
そんな中、きちんと指示したのに(指示したはずなのに)、やっていない部下。
それを指摘すると、「聞いていませんが・・・」と。
「言った・言わない・聞いてない」
話し手と聞き手で、理解の仕方や内容に食い違いが生じることがあります。
上司ならば、特にそんな場面に遭遇することも多いのではないでしょうか。
そんなコミュニケーションの食い違いを
「コミュニケーション・ギャップ」といいます。
コミュニケーション・ギャップについては、
このブログでも何度か紹介しています。
改めて考えてみましょう。
■ 選択的知覚・選択的記憶「ビジネス心理学100本ノック」榎本博明著(日経文庫)からの引用です。
コミュニケーションの食い違い、すれ違いが起こる理由とは
「だれもが自分に都合よく知覚し、記憶しているから」。
食い違いやすれ違いが起こる理由には、人間の自己中心的性格が絡んでいる。
実は、だれもが、自分に都合よく物事を知覚し(選択的知覚)、
自分に都合よく物事を記憶している(選択的記憶)。
本書には
「たとえば、納期を決めたとしても、早く手に入れたいと思っている側は、
もっと早い納期だったような気がしてくる。
納期がキツイと考えている側は、もっと遅い納期だったような気がしてくる。
そこにすれ違いが生じる」
ということで
「記憶は都合よく変容する。
そんなコミュニケーション・ギャップを防ぐには、
メールなどを使ってその都度確認し、記憶を共有しておくことが不可欠である」
としています。
・・・確かに。私も、特に日程については、メールで共有するようにしています。
なんせ、研修の日程が違っていたら・・・。考えるだけで恐ろしや。
■上司と部下のコミュニケーション・ギャップ以前にもアップした、
「上司と部下のコミュニケーション・ギャップ」についての
アンケート結果を思い出します。
かいつまんでいうと、
「上司と部下の間で情報の共有がなされているか」との問いに、
共有されているとの回答は「上司57.7%」で「部下45.1%」。
「部下をほめているかどうか」の問いに対し、
「部下をほめているという上司は80.3%」。
一方、「上司はほめる方だと考えている部下は51.4%」
ということは、部下、つまり指示命令を受ける側、地位が下の者、聞き手側としては、
「選択的知覚や選択的記憶」になりがちのようです。
これも、納得ですねえ。
ちなみに、「率先して仕事に取り組んでいるかについて」は。
そう思っている部下は78.3%。
ところが部下の仕事ぶりに満足している上司は37%。
これもやはり、双方の「選択的知覚や選択的記憶」が影響しているようです。
■ おわりに確かに私たちは、自然と自分に都合の良いように解釈しがちです。
あるいは、自分に都合の悪いことはなぜか耳に入ってこない、
なんてことも。
総合すると、
情報を伝える立場の人、他者に何かをお願いする立場の人、
また立場の上の人は、
聞き手には「選択的知覚や選択的記憶がある」ことを念頭に、
わかりやすく具体的にていねいに、
そして何度でも、真剣に説明する必要があるようです。
「相手はわかるはず」、「部下は納得するはず」では、うまくいきませんよね。
伝える側、上の者が、意識すべきことです。
ちなみに、このところ定着してきたリモート会議。
私的には、PC越しでは、より一人ひとりの顔、表情が確認できますので、
ある意味、コミュニケーション・ギャップは解消されるかも?
リーダーは、だれにでも「選択的知覚」と「選択的記憶」があることを念頭において、
部下に指示、命令する必要があります。
「聞いていません!」と言われないようにね。