ほどよい距離感
コロナ禍が続き、他者と対面する機会が減っています。
それは、相手、あるいはメンバーたちとの距離感が遠くなっている、
ともいえるでしょう。
距離感とは、
心理的な距離で、相手に対して心の差やへだたりがあると思う気持ち。
ビジネスシーンにおいても、人間関係に影響を与えるのが距離感です。
「アドラーに学ぶ職場のコミュニケーションの心理学」2015小倉広著 日経BP
では次のような記述があります。
「(職場の)良好なコミュニケーションの鍵は距離感である」
プライベートでもビジネスシーンでも、
人間関係における「ほどよい距離感」は大切です。
そこで、今日はビジネスシーンでの距離感について考えてみましょう。
■ 距離感が近すぎるケース
職場での相手との距離感が近すぎると、様々な弊害がでてきます。
例えば、自分の意見や思いを押し付けたり、世話を焼き過ぎたり、
プライベートに深く踏み込んでしまったり。
また、過度な期待をすることも距離感が近すぎるケースといえます。
よくあるのが、上司への過度な期待です。
「上司は自分のことをわかっているはず」
「上司は部下の仕事内容をすべて知っているはず」など。
冷静かつ客観的に考えてみると、
上司が部下一人一人のすべてをわかっていることはありません。
相手に過度に期待をしないこともポイントです。
■ 距離感が遠すぎるケース
距離感が遠い場合、相手に無関心だったり、
相手を寄せ付けない態度をとることがあります。
また、メンバーに全く興味を持たず、受け容れることもせず、
黙々と自分だけの仕事をこなすという一匹狼など、自ら孤立している人もいます。
距離感が遠すぎると、味気ない人間関係になったり、ギスギスした職場になります。
距離感は、近すぎても遠すぎてもうまくいきません。
■ 自分の距離感タイプを知る
職場のコミュニケーション、
つまり人間関係で一番難しいのは距離感をつかむこと。
距離が近すぎれば自分の領域が侵害されますので息苦しくなり、
つぶされるような状況に置かれることもあるでしょう。
かたや距離が遠すぎると疎外され孤立していると感じてしまいます。
近すぎても遠すぎても、うまくいきません。
もちろん「近い」「遠い」を感じる距離は、人によって各々違うので、余計難しい。
ウェットな付き合いを好む人もいれば、ドライな付き合いを好む人もいます。
そこで、自分の持っている距離感を確認してみましょう。
1.「共同体タイプ」か「一匹狼タイプ」か
簡単な見分け方をご紹介します。
●「共同体」タイプ
「仕事上のおつきあいも含め、
みんなで仲良く円滑なコミュニケーションは人間関係の基本!」と考えている。
飲みに行ったり遊びに行ったり プライベートもオープンに、
近しくつきあいたいタイプ。
●「一匹オオカミ」タイプ
「誘われるのはうれしいけど、
プライベートの時間まで浸食されるのはイヤ!」と考えている。
仕事上のつきあいとプライベートは一線を画してつきあいたいタイプ。
自分が他者との間に保っている距離にはどんな意味があるのか、
その距離感がどんなメリットやデメリットをもたらすのかを整理しておくと、
自分のクセがわかりやすくなります。
たとえば、人と距離を置かず親密な関係性を好む「共同体タイプ」は、
その関係性からもたらされる心情的な温かさやつながり感、豊富な情報など、
自分一人だけでは持ちえない様々な恩恵に預かっているはずです。
その反面、その関係性を維持するコスト(心的エネルギーや時間的拘束)が
負担になることもあるでしょう。
逆に、人と距離を置きがちな「一匹狼タイプ」は、
人間関係からもたらされる情報やつながりが少ない代わりに、
人を遠ざけることで「守っている何か」があるのかもしれません。
たとえば、独り静かで仕事に集中する時間、客観性を保つことなど、
人と距離を置くことで得られるメリットはあるはずです。
■ ほどよい距離感の作り方
「ほどよい距離感」がなかなか見つからないときは、
どのような対処法をとればいいでしょうか?
1.距離感を近づけるコツ
「いろいろ努力するけど人の輪の中になかなか踏み込めない。
もっとみんなとの距離を縮めたいのに・・・」
そんな悩みをもつ人は、自分の考えていること、自分の普段の生活のことなど、
自分に関する話題を、距離を縮めたい相手に伝えます。
つまり「自己開示」をするということです。
自分のことを相手に伝えるようにすると、
返報性の法則(相手から与えられたことと同じことを返す)で、
相手はあなたに同じことを伝えるようになることが多いもの。
そして、距離は縮まっていきます。
2.距離感を置くコツ
「楽しくてつきあっている仲間たち。で
も、負担に感じるときもがある。少し距離を置きたい・・・」
楽しいはずの人間関係でも、コミュニケーションに費やす時間やエネルギーが
知らないうちにストレスになることがあります。
自分一人の時間(すき間)を作ってストレス感を緩和することもときには必要です。
そんな時は、仲間からのお誘いを上手に断る術を身につけておくと、
つきあい方も楽になるかもしれません。
■ おわりに
あなたの距離感はどうでしょう?
上記のように考えていくと、私自身は子供の頃から距離感は遠いタイプでした。
だから、「何を考えているのかわからない」なんて言われることもありました。
大人になってからもより強くなり、女性同士で群れることはありませんでした。
この癖は、実は私にとってとてもありがたく、
人間関係のストレスをほとんど感じませんでした。
今もですが・・・。いいか悪いか???
さて。
ビジネスシーンでは、ほどよい距離感を保つことを意識すると、
よい関係作りにつながります。
近すぎず(押付け・入り込む・感情的・期待しすぎ)、
遠すぎない(遠慮・心を閉す・無反応・疎外)関係を
意識してみてはいかがでしょうか?