人は期待されると伸びる
コロナ禍が続き、部内のコミュニケーションの機会が減っている
と嘆く上司や部下の方、多いようです。
確かに、顔を合わせる機会が減れば、
コミュニケーションの機会も減少します。
一方、この状況を逆手にとり、
リモートを利用して「1on1ミーティング」のように
個人面談を意識的に実践している上司もおられるようです。
まさに、ピンチはチャンス!ですね。
いずれにしても、2年以上にわたる通常ではないこの事態、
部下育成もままならないという声もあります。
とはいえどんな状況であっても、
部下のモチベーションをあげることも上司の役割の一つです。
そこで、上司として意識したいのが「ピグマリオン・マネジメント」です。
このブログで、何度も紹介しています。
忘れていませんか?
ということで、おさらいです。
■ ピグマリオン効果とは
上司や周りの人から「期待されているなあ」と実感したとき、
その期待に応えたいとがんばれるものです。
期待されていると思えると、なんだか嬉しくもなります。
逆に「自分は期待されていない」と感じると・・・
やる気をなくし、希望もなくなるものです。
上司や周囲から期待されることの効果は「ピグマリオン効果」
として知られています。
ピグマリオン効果とは(Wikipediaによると)
1964年、米国の心理学者ロバート・ローゼンタールが
小学校の実験で実証した理論で、
「人間は期待された通りに成果を出す傾向がある」
というもの。
ピグマリオンという名称は、
ギリシャ神話の
「ピュグマリオン王の恋焦がれた女性の彫像が、
その願いに応えたアプロディテ神の力で人間化した」
という伝説に由来するそうです。
ローゼンタール博士の実験をかいつまんでいうと。
何の裏付けもないのに、
「この生徒たちは知能が高いからこれからグングン伸びる」
と信じ込まされた教師が、その生徒たちに対し期待を込めて指導したところ、
その生徒たちの成績が実際に伸びた。
つまり、教師から期待されることで生徒の成績が伸びることから、
「人は期待されると伸びる」という結論に達したのです。
なお、その後の研究で、
「伸びる」とされた生徒と、そうではない生徒に対する教師の態度にも
違いがあったようです。
「この生徒は伸びる」という前提があると、
対応の仕方も変わるものなのですね。
このピグマリオン効果を、
職場のマネジメントに生かすのが、
「ピグマリオン・マネジメント」です。
■ ピグマリオン・マネジメント
榎本博明著「ビジネス心理学100本ノック」
からの引用です。
・・・この本、参考になるホントいい本ですよ。
ハーバード・ビジネススクール教授の
J・スターリング・リビングストンが提唱しました。
マネジャーの期待が、部下や部署のパフォーマンスに影響を与える、
ピグマリオン効果による動機づけの方法。
1.マネジャーが部下に何を期待し、また部下をどう扱うかによって、
部下の業績と将来の昇進がほとんど決まってしまう。
2.優れたマネジャーは、「自分は高い業績を達成できる」
という期待感を部下に抱かせる能力を持っている。
3.無能なマネジャーは、このような期待感を与えることができず、
その結果、部下の生産性も向上しない。
4.部下は部下で、自分に期待されていることしか行おうとしない傾向が強い。
加えて、榎本氏は
「初年度に会社から期待されたことと5年後の昇進との相関は0.72となり、
両者の間に非常に強い関係があることを見出した研究もある」
とし
「モチベーション・マネジメントとしては、
上司が部下に対して期待の視線を投げかけ、
期待していることが伝わるような声掛けを心掛けることが大切」
と、結んでいます。
■ おわりに
そもそも、あなたは、部下に期待をしていますか?
・・・もし、期待していないというなら・・・???
ちょっと心配です。
期待していることを態度で示したり、
言葉で伝えていますか?
私の経験では、
「たとえその部下の現状の働き方に不満を感じていたとしても、
努力すれば必ず伸びると期待をもって接することで、
その部下の成長が実現する」こと
実感しています。
コロナ禍で直接接する機会が少なくなっている今こそ、
部下たちに期待を持って接してみませんか。
彼らは、あなたの期待を嬉しく思い、
その期待に応えたい、と努力をするでしょう。
「期待されても困る」という部下もいるものですが、
それでも内心は嬉しいもの、
と思いますよ。
なお、「期待しすぎ」、「過度な期待」は禁物です。
部下を追い込んでしまう可能性があります。
何事もほどほどに、かつ「人を見て法を説け」でもありますから。