円滑なコミュニケーションのコツすべては、まずは自分から

先日、とある研修会で、
受講者の課長さんからこんな発言がありました。
「最近の若い部下たちは、何を考えているかわからん!
自分のこと何も話してくれんし・・・」と嘆くのでした。
そのときご紹介したのが
「自己開示の返報性」です。
簡単に言うと、
「上司が自ら自己開示する。すると部下も心の扉を開いてくる」。
そして相互理解を促進して活発なコミュニケーションを図り信頼感につなげる、
というもの。
「自己開示の返報性」については、後半で説明します。
その前に、円滑なコミュニケーションの定番理論をご紹介します。
ご存知の方も多い「ジョハリの窓」です。
■ ジョハリの窓とは?1955年、サンフランシスコ州立大学の心理学者
ジョセフ・ルフトとハリー・インガムが発表した
「4つの領域から構成される対人関係における気づきのモデル」です。
超有名です。コミュニケーション系の研修には欠かせません。
後に2人の名前を組み合わせ「ジョハリの窓」と呼ぶようになったとさ。
「個人間の開示的なコミュニケーションの程度を評価するために用いられるモデル。
コミュニケーションを行う自分と他者という次元と、
情報を知っているか知らないかに関する次元を組み合わせた
4つの領域から構成される」という説もあります。
■ ジョハリの窓 4つの領域・紙などに大きな四角を描き、
縦、横とも半分のところで十文字を入れ4つの箱を作ります。
・横軸を「自分」とし、左側は(自分が)知っている領域、
右側は(自分は)知らない領域、とします。
・縦軸を「他者」とし、上半分は(他人が自分のことを)知っている領域、
下半分は(他人は)知らない(自分)とし、4つの領域を作ります。
★左上の領域自分は知っているし他者も知っている自分ということで、
「開かれた窓」です。
・左下の領域自分は知っているけれど他者は知らない、
つまり他者に自分を隠している領域で、
「隠された窓」です。
・右上の領域自分は知らないけれど他者は知っているという、
自分では
「気づかない窓」です。
・右下の領域自分も他者も知らない
「未知の窓」です。
■「ジョハリの窓」による円滑なコミュニケーションのコツ・自分は気づいているけれど他人には隠している部分を打ち明けることを
「自己開示」といいます。
・他者には見えている(気づいている)けれど自分では気づいていない部分を、
他者から教えてもらうこと
「フィードバック」といいます。
対人関係を深めるためには、
他者に隠している部分を素直に開き(自己開示)、
自分の気づかない点を他者から指摘してもらい(フィードバック)、
相互が理解している領域を広げること(相互理解)が大切なのです。
自己開示とフィードバックを繰り返せば、
相互理解が深まり円滑なコミュニケーションにつながり、
同時に、お互いに、知らなかった自分がドンドン開発され、
自身の人間的向上や成長を図っていくことができます。
■自己開示の返報性「返報性」とは「相手にしてもらったことを自分も相手に返す」
という心理が働くこと。
相手から自己開示されると
「こんなに自分のことをさらけ出してくれたんだから、
私も自分のことを話してもいいよな」
という気持ちになります。
そこで職場においては、まずは上司自身から自己開示をしてみましょう。
例えば、若手社員時代の失敗や悩み、
上司や取引先から叱られてへこんだことなど、なんでもいいです。
「実は・・・」と切り出し、自分の辛かったことや腹の立ったことを伝えると、
相手の心のシャッターも徐々に上がり始めるでしょう。
そして相互理解が促進され、やがて信頼関係につながります。
人間関係の構築を苦手に感じて悩み込んでしまう若手社員が多い
といわれていますが、
「自分を見せる・広げる」→「相手も見せる・広げる」の繰り返しによって
お互いを理解し合っていくことが関係構築の基本なのです。
■ おわりに「ジョハリの窓」の4つの領域から、
自分がどれくらい心を開いているのか、
他者の指摘をどれくらい受け入れているかを考えるのに役立ちます。
また、自分はどの領域が広いかが分かるセルフチェックシートや、
グループで自分が他者からどう見られているかを話し合うワークもあります。
「開かれた窓」を広げ、オープンなコミュニケーションにつながるといいですね。
さあ、明日、誰に、どんな自己開示、しますか?