「PDCA」の確認
今なお、多くの働く人が知っている(使っている?)「PDCA」、
または「PDCAサイクル」。
復習気分で、ふりかえってみましょう。
ちなみに、最近、同様の「OODA」フレームも注目されています。
それは後日。
■ PDCAとは?PDCAとは、
「Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)」の
頭文字を取ったもので、継続的に品質を管理するための手法。
1950年の日本で、統計的品質管理について
ウォルター・シューハートの弟子エドワーズ・デミングが
日本科学技術連盟(日科技連)で講演した。
この講演を聞いた日科技連の幹部がPDCAを提唱したとされる。
日本では1990年代後半からよく使われるようになった。
■ PDCAの内容1.Plan(計画)目標を設定し、従来の実績や将来の予測などをもとにして、
目標を達成するための実行計画を策定する。
目標については、測定可能かつ到達可能なものを意識すると効果的。
製造現場であれば「不良品率2%未満」、
営業現場であれば「受注率10%以上」といった具体的な目標にする。
実行計画は、実行予定日や期日、部署や担当者、方法などを
具体的に定めていく。
例えば、5W2H(なぜ、なにを、誰が、いつ、どこで、いくら、どのように)
の7項目を意識する。
スムーズに実行に移せるように、具体的なアクションプランを立てよう。
2.Do(実行)計画に沿って実行する。
計画通りに実行することで、その場の思いつきや惰性でなく、
目標達成に向けて重要な仕事に集中することができる。
あらかじめ目標を実現するために定めた行動に集中すれば、
実際に達成できる可能性も高まる。
また、計画通りに実行するだけでなく、記録を残すことも大切。
記録があれば、後から行動のふりかえりをする際に、
思い違いや失念を防げ、行動がどうだったのかを正確に分析することができる。
質の高い評価につなげるために記録は非常に役立つ。
3.Check(評価)目標達成の度合いや、業務の実行が計画に沿っているかどうかを評価する。
行動の分析を意識するといい。
目標達成については、
「目標が達成できたか・できなかったか」という二択だけでなく、
「どのくらい達成できたのか」という達成度合いを測る。
例えば、先述の「不良品率2%未満」という目標であれば、
それに対してどの程度達成できたのかを定量的に測定する。
数字を用いることで客観的な分析ができる。
行動の分析とは、目標達成に向けてあらかじめ定めた行動についての評価。
「計画通りに実行できたか」
「計画通りに行かなかった場合、その原因は何か」を考える。
これらはその後の改善につながる重要な分析である。
4.Action(改善)Do(実行)とそれに対するCheck(評価)をもとに、改善を行う。
成功や失敗の要因を分けることと要因の取捨選択が大切。
要因の分類については、現在行なっている業務のうち、
成功の要因と思われるもの、失敗の要因と思われるものについて分ける。
こうすることで、どのような工程を優先的に改善すべきなのかが明らかになる。
分類した要因について
「継続する、やめる、改善する」という3つの対応のうちいずれかを選ぶ。
この4段階を順次行って1周したら、
最後のActionを次のPDCAサイクルにつなげ、
螺旋を描くように1周ごとに各段階のレベルを向上させて、
継続的に業務を改善する。
■PDCAのメリットPDCAの最大のメリットは、継続的に品質管理や業務改善ができる点。
どのような仕事や業務でも、いきあたりばったりでは改善が容易ではない。
あらかじめ定めた目標や行動方針がなければ、
何を実行すべきかバラバラになったり、
後から評価する際も何を基準に評価すれば良いのかがわかりづらい。
PDCAのプロセスでは、まず目標を設定したうえで計画を立て、
それに沿って実行、評価を行なっていく。
これらによって何を実行すべきかがあらかじめ明確になり、
評価の際も注目すべきポイントが分かりやすくなり分析しやすい。
結果として、品質の管理も改善も容易になる。
■ PDCAのデメリット1.改善に時間がかかるPDCAのデメリットとして、改善に時間がかかるという点がある。
PDCAは、計画、実行、評価を経て改善を行うという手法。
改善アイデアを思いついた時点ですぐに実践するというわけではなく、
計画と実行に対して評価を行なってから改善に取り組むことになる。
そのため、どうしても改善を反映するまでに時間がかかってしまう。
改善の後にも同じ問題がある。
考案した改善策が本当に効果的なのかどうかを検証するには、
計画、実行、評価というプロセスを繰り返さなければならない。
仮に改善策が誤っていた場合には、新しい施策を試すために、
さらに何周分もの時間がかかるということになる。
2.前例主義になりがちPDCAは、前例主義に陥ってしまう問題もある。
PDCAは過去に実施した施策や行動を評価することで
改善案を生み出すという手法。
分析するための対象はあくまでも過去の実績であるため、
全く新しいアイデアが生まれづらいという課題がある。
改善活動を行う時には、他の事例を参考にしたり、
外部の意見を用いたりといった手段が効果的。
しかし、PDCAはもともとそういった発想に至りづらい方法であるため、
革新的な改善を目指すには、外部にも目を向ける必要がある。
3.PDCAが目的化するPDCAが過度に目的化してしまう問題もある。
PDCAは、現状の業務プロセスの分析や問題の発見に優れているのは事実。
しかい、PDCAは、品質の管理や業務の改善などを実施するための手段の1つであり、
それ自体が目的ではない。
過度にPDCAを重視することは問題であるといえる。
PDCAを実施するには、その効果とコストのバランスを意識することが重要。
■ おわりに「PDCAサイクル」の基本、復習になったでしょうか?
新入社員研修などでは、「
PDCAサイクル」についてゲームを実施して身につけていただいています。
そこで目につくのが、DO(実践)した後に、
じっくりC(評価、ふりかえり)するのではなく、
すぐにAction(改善)に結びつける受講者が多いことです。
実践した結果、つまり物事をじっくりふりかえり評価し、
真因を見つけだすという経験が少ないからでしょうか。
日々の業務で
「@目標設定 ➁計画策定 ➂実行 C評価・ふりかえり D改善策策定」
といった一連の流れは、業務の向上ばかりでなく、本人の成長、向上にもつながります。
その点を伝えて納得を得ることも、リーダーとしては必要ですね。
もちろん、自職場に合った方法にアレンジすることも必要ですね。
つまり「いいとこ取り」です。