2種類の幸せ「ヘドニアとユーダイモニア」
ゴールデンウィークも後半。
このブログでは連休時は、「セルフコーチング」を続けています。
余裕のある時間を生かして、今のご自分をふりかえる機会となれば幸せです。
そんな中、少し前にアップした「2種類の幸せ」を思い出しました。
これも、自分の日常をふりかえるために参考になるのではないでしょうか。
セルフコーチングもどきですが・・・
・・・少々長いですが、ご容赦くださいね。
■「ヘドニア」と「ユーダイモニア」古代ギリシャのアリストテレスの頃から幸せについての哲学は存在していたといいます。
アリストテレスは
「人生の最終目的は幸せ以外にありえない」と断言しました。
そして、幸せについて、快楽(ヘドニア)とユーダイモニアの二つに分類しました。
一時的な楽しい気分を味わう快楽に対して、
人間に特有な理性の機能を善く働かせ、自分の能力をフルに活かした人生を送ることを
ユーダイモニアと呼びました。
自分を発達(成長)させていくことや、自己を超えたものに貢献するときに、
ユーダイモニア的幸福を感じるということです。
・「ヘドニア」は快楽主義とも訳されます。
快楽というと退廃的なニュアンスを感じるかもしれませんが、
そうではなく、五感で快を感じることに関連した、
美味しい、美しい、嬉しい、楽しいといったような幸せを含みます。
ただし、この幸せは短期的で長続きしないと言われています。
・「ユーダイモニア」は幸福主義とも訳されます。
何か人生にとって意義のあることを行なって生きがいを感じるような長期的な幸せです。
利他心や社会貢献もここに含まれます。
どちらかというとヘドニアよりも真面目に生きることにつながった幸せであるように
思えるかもしれません。
ではどちらが幸せのために重要なのでしょうか。
ヘドニアだけだと、短期的な快楽だけを追求してしまいそうです。
そもそも長続きしない幸せですから、ヘドニアを求め続けないと幸せになれない感じがします。
しかし、ユーダイモニアだけだと、今を楽しみ足りない感じがします。
意義のあることのため、生きがいのため、社会貢献のために今を犠牲にしてしまっては、
幸せとは言えない場合もあります。
従って、両者をバランスよく持っていることが幸せであると言われています。
あるいは、ユーダイモニアだけであっても、それをいまここで楽しんでいれば幸せで、
楽しんでいるというならなら、そこにはすでにヘドニアの要素が含まれているという
ことになります。
■「ヘドニア」と「ユーダイモニア」を詳しくみていこう◎ヘドニア「快楽の幸せ」の特徴•五感を通して得られることが多い
•ポジティブ感情が高まり、ネガティブ感情が減る
•日常生活の中で得やすい
•比較的短い時間しか続かない
例えば以下のようなことで感じられる、心地よい幸せです。
•おいしいものを食べる
•ゆっくり入浴する
•友人と楽しくおしゃべりする
◎ユーダイモニア(生きがいの幸せ)の特徴•意義あることに打ち込むことで感じられる
•苦労や困難を伴うこともある
•一定期間打ち込むことで感じられやすい
•比較的長い時間続く
■ヘドニアとユーダイモニアは両方必要ヘドニア=快楽の幸せ、と聞くとあまり良い印象は持たないかもしれません。
しかし、ヘドニアとユーダイモニアは、どちらが良いとか悪いとかいうことはなく、
人生にはどちらも必要です。
どちらをより指向するかは人によって異なり、
最適なバランスも人によって違うとされています。
ユーダイモニア=生きがいを追求すると、途中には困難があったり、
苦難を伴うこともあります。
そんな時、ヘドニア的な幸せは、疲れ切った心身を癒し、再び意欲的に取り組み、
困難に打ち勝つ力を与えてくれるのです。
■ ヘドニアとユーダイモニアの落とし穴人はともすればヘドニアをより強く求めてしまいがちです。
でも、ヘドニアには落とし穴があるので注意が必要です。
気分が上がる楽しいことをしたり、欲しいものを手に入れたりといったことで得られる幸福は、
多くの場合、長くは続きません。
始めのうちは楽しく心地よく感じても、「快楽順応」によって間もなく慣れてしまい、
より大きな刺激を求めてしまいがちです。
人は次々に快楽を求めてしまいますが、
それはランニングマシンの上を走り続けるのと同じことで、
決してゴールにはたどり着くことはなく、きりがないのです。
快楽順応に陥らないようにするためには、
ヘドニア的幸福はそれと意識して心から味わうようにして、
常に感謝の気持ちを忘れないようにすることが大切です。
例えば以下のようなものは、人の脳の快楽中枢をダイレクトに刺激し、
簡単に快楽を感じさせます。
甘いもの、スナック菓子、酒、タバコ、ギャンブル、スマホ、SNS麻薬、オンラインゲーム、薬物
しかし、これらには依存性があります。
日常生活に支障のない範囲で楽しむ分には良いですが(麻薬や薬物は絶対だめです)、
これらがないと落ち着かないといった状態になったり、
依存症に発展してしまうと、人生が大きく狂います。
幸福どころではなくなってしまうので、十分に注意しましょう。
■「やりがい搾取」につながるユーダイモニアに注意!数年前に注目された「やりがい搾取」。
「やりがい搾取」とは、従業員に対して「やりがい」や「自己実現」を強く意識させて、
低賃金で長時間働かせるなど、
相応の報酬を払わずにサービス残業や低賃金という形で搾取することを指します。
注意が必要ですね。
■ 自分のヘドニア、ユーダイモニアは?ここまで、あれこれと説明してきました。
ここでご自身の「ヘドニア」と「ユーダイモニア」を確認してみましょう。
マトリックス図にして書き出してみると、俯瞰できます。
縦軸の上部が「ユーダイモニア」、下部が「ヘドニア」。
横軸の右端が「動的(元気な幸せ)」、左端が「性的(静かな幸せ)。
この4象限に書き出して、今の自分を分析してみるといいでしょう。
そして、やる気が出ないとき、幸せを忘れそうになったとき、
この表を見て、今の自分の気が向くものをちょっとだけやってみるといいでしょう。
きっと、幸せはあなたの元に戻ってきてくれることでしょう。
表を見直すだけでも刺激になったり、元気が取り戻せるでしょう。
■ おわりにあなたは、日々の幸せを楽しんでいるでしょうか。
ヘドニア型の、五感で感じる幸せを日々感じて生きているでしょうか。
あなたは、生きがい・やりがい・働きがいを感じる、
充実した人生を送っているでしょうか。
世の中のために役に立つ喜びを感じているでしょうか。
ユーダイモニア型の幸せのことです。
また、欧米型の幸福観は、何か刺激的な出来事が起きることを求める傾向がある
動的な幸せ観であるのに対し、
日本や東洋の幸せは、静かで穏やかな時の流れを楽しむ静的な幸せを求める傾向がある
とも言われています。
あなたは、動的な幸せと、静的な幸せと、どちらを求める傾向があるでしょうか。
こちらも優劣はありませんが、自分はどんな時に幸せなのか、把握しておくといいでしすね。